総合旅行業務取扱管理者と世界遺産検定で出題されるスイスの地理についてまとめてみました。
こんな方におすすめ
・高校地理が得意で、さらに地理を学びたい方
・スイスについて知りたい方
・総合旅行業務取扱管理者受験者
・世界遺産検定受験者
試験対策を行う前に
スイスの主要都市の位置関係を先に学んでおくと、この先の資格対策がスムーズになります。
総合旅行業務取扱管理者試験 対策
スイス連邦
首都:ベルン
通貨:スイス・フラン
公用語:ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語
チューリッヒ
スイス北部に位置する同国最大の都市。
交通の要衝で、金融・商業の中心地。
ルツェルン
スイス中部に位置する森と湖が美しい観光都市。
「瀕死のライオン」として有名なライオン記念碑がある。
世界一の急勾配を登る登山電車のルートで知られるピラトゥス山への登山基地。
カペル橋
ルツェルンのシンボル。
ロイス川に架かる屋根付きの木橋。
1993年に火災により大半が焼失したが、翌年に再建。
ベルン
スイス中西部に位置するアール川の段丘上にある同国の首都。
旧市街は世界遺産に登録されています。
ジュネーブ
スイス西部、レマン湖西岸にある都市。
国連や赤十字国際委員会、世界保健機構などの国際機関が数多く置かれている都市で、
ヨーロッパ最高峰のモンブラン山への登山基地となっている。
宗教改革記念碑
宗教改革者を讃えるために造られた記念碑。
宗教改革の中心人物であるファレル、カルヴァン、ベーズ、ノックスの4人の像がある。
モンブラン橋
レマン湖に架かる橋。モンブラン山を望むことができる。
付近には、文字盤の花時計があることで有名なイギリス公園がある。
レマン湖
スイス南西部に位置する湖。
湖畔には国際オリンピック委員会(IOC)のあるローザンヌや、
ジャズの祭典とシヨン城で有名なモントルーなどがある。
シヨン城
レマン湖東岸のモントルーにある古城。
詩人のバイロンが訪れ、「シヨンの囚人」、「シヨン城詩」を書いたことから有名になった名所。
インターラーケン
スイス中央部のトゥーン湖とブリエンツ湖の間に位置する観光地。
インターラーケンの地名はラテン語で「湖の間」を意味するinter lacūsが由来とされている。
ユングフラウ山への登山基地として知られており、
近郊にはグリンデンヴァルトがあります。
グリンデンヴァルト
スキー、登山の拠点として有名な観光地。
スイスを代表する山の一つであるアイガーの麓に位置しており、
ユングフラウヨッホへの登山鉄道が通っている。
アイガー
スイスを代表する山の一つ。垂直に切り立つ北壁が有名。
ユングフラウ、メンヒとともにオーバーラント三山の1つとされています。
ユングフラウヨッホ
ベルン・アルプス山脈のユングフラウ山とメンヒ山の間に位置する観光地。
ユングフラウ山への登山列車の終点で、アルプスの展望台がある。
アレッチ氷河
ユングフラウ山の南側にあるヨーロッパ最大規模の大氷河。
スイス・アルプスのユングフラウ=アレッチとして世界遺産に登録されている。
ツェルマット
スイス南部に位置する山岳観光地。
マッターホルンへの登山基地。
アルプスの清浄な空気を保つためにガソリン車を締め出しており、
町内の移動手段は電気自動車か馬車となっている。
マッターホルン
ツェルマットの南西部、
スイスとイタリアの国境ペニン・アルプス山脈の中央部にあるピラミッド型の高峰。
ゴルナーグラート
スイス南部、ツェルマットから登山鉄道で行ける観光地。
マッターホルンの眺望に最適な地として多くの観光客が訪れる。
マイエンフェルト
スイス東部、リヒテンシュタインとの国境付近にある山村。
ヨハンナ・シュピリの児童文学小説『ハイディ(ハイジ)』の舞台の地とされている。
※邦題:アルプスの少女ハイジ
サン・モリッツ
スイス南東部に位置する国際的な観光・温泉保養地。
スキーをはじめとするウィンタースポーツの聖地で、
1928年、1948年に冬季オリンピックの開催地となっています。
また氷河鉄道の発着地であり、世界遺産「レーティッシュ鉄道 アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」を走るベルニナ急行の発着地でもある。
氷河鉄道
ツェルマットとサンモリッツ間の約270kmを8時間かけてゆっくり走る山岳観光列車。
車窓からはスイスが誇る美しいアルプスの風景を堪能できる。
その他
アルバイン祭り
ベルン・アルプス山脈北麓の各地で行われるスイスの夏の風物詩。
ヨーデル大会やアルペンホルン演奏会などの伝統行事が催される。
チーズ・フォンデュ
溶かしたチーズの鍋にパンなどを入れ、からめて食べる、スイスを代表する料理。
世界遺産検定
スイスの世界遺産は文化遺産9件、自然遺産4件の計13件です。
2級
ラヴォー地区のブドウ畑
スイス西部レマン湖沿いに位置するローザンヌからシヨン城にかけて広がるブドウ畑。
現在のブドウ栽培の原型は、11世紀にカトリック修道会のベネディクト会とシトー会の指導のもと始まったとされています。
ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル、時計製造業の都市計画
スイス北西部に位置するラ・ショー=ド=フォンとル・ロックルは、
時計製造に特化した独自の都市開発を行ってきた都市です。
19世紀初頭に始まった都市計画で、居住空間と時計工房は同じ建物の中で接近(職住近接)させ、
伝統的な時計職人の文化と時計製造の効率性を両立させています。
職住近接型の都市計画について、
カール・マルクスは、著書の「資本論」にて、労働の分業を分析する際の一事例として取り上げ、「工場都市」(ville-manufacture)と評した。
またラ・ショー=ド=フォンは、後述する建築家ル・コルビジェの出身地でもあります。
ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-
パリを拠点として活躍した建築家ル・コルビジェの建築作品を一つの世界遺産として登録しており、
東京にある国立西洋博物館を含め、世界に17箇所の資産で構成されています。
スイスでは、ヴヴェイにあるレマン湖畔の小さな家と
ジュネーブにある集合住宅のイムーブル・クラルテが世界遺産に登録されています。
1級
文化遺産
ザンクト・ガレン修道院
スイス北東部ザンクト・ガレンにある修道院。
612年にアイルランドの修道士ガルスがボーデン湖の南の谷に小さな庵を結び、
弟子たちと共に神への祈りを捧げる生活を送ったのが始まり。
720年頃にこの場所に修道院を建てられ、ガルスの名をとってザンクト・ガレン修道院と名付けられました。
747年にベネディクト会の修道院となってからは、ヨーロッパにおける学術の中心地となり、
この地方をザンクト・ガレンと呼ぶようになりました。
その後、修道院は火災による消失や宗教改革時の騒乱で破壊を経て、
1755年から1768年に後期バロック様式の修道院を再建。
同時期にロココ様式の付属図書館も完成しています。
ベッリンツォーナ旧市街の3つの城と防壁・城壁群
スイス南部ティチーノ州にある町。
イタリアと西ヨーロッパを結ぶ交通の要所であったため、
古代ローマやミラノ公国などの様々な国に支配を受けた歴史があり、
多くの城塞が築かれました。
13世紀建設のカステル・グランデや、
ムラータという防壁でカステル・グランデと結ばれた14世紀建設のモンテ・ベッロ城、
少し離れたところに建つ1480年建設のサッソ・コルバロ城の3つの城が世界遺産に登録されています。
ベルン旧市街
スイスの首都ベルン。
元々は1191年に、この地を治めていたベルヒトルト5世が森を切り拓いて建てたことが始まりの都市です。三方がアーレ川に囲まれた都市で、13世紀から14世紀にかけて囲まれていない西側に向かって拡張。
しかし、1405年に大火で街の中心部が全焼。以降、再建された建物を石造に建て替えられました。
ベルンの旧市街には、
時計塔をはじめ、聖ヴィセンテ大聖堂、噴水、スイス連邦議事堂などの建造物があります。
ミュスタイアのベネディクト会ザンクト・ヨハン修道院
スイス南東部のアルプス山脈の険しい斜面に位置するミュスタイアの谷にある修道院。
ベネディクト会ザンクト・ヨハン修道院は、8世紀のカロリング朝時代に建てられたキリスト教の建物。
当初は木組みの天井で覆われた、単一身廊に3つの礼拝堂という構造であったが、
15世紀に2つの側廊と石造りの尖塔形穹窿を備えた後期ゴシック様式となっています。
20世紀の修復作業を通じて、1160年代以降のロマネスク様式のフレスコ画が発見されています。
穹窿…ドーム状に丸みをつけた天井のこと
ラヴォー地区のブドウ畑
スイス西部レマン湖沿いに位置するローザンヌからシヨン城にかけて広がるブドウ畑。
現在のブドウ栽培の原型は、11世紀にカトリック修道会のベネディクト会とシトー会の指導のもと始まったとされています。
ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル、時計製造業の都市計画
スイス北西部に位置するラ・ショー=ド=フォンとル・ロックルは、
時計製造に特化した独自の都市開発を行ってきた都市です。
19世紀初頭に始まった都市計画で、居住空間と時計工房は同じ建物の中で接近(職住近接)させ、
伝統的な時計職人の文化と時計製造の効率性を両立させています。
また、どの建造物にも日当たりが良いように建物の向きを統一する工夫が施されています。
職住近接型の都市計画について、
カール・マルクスは、著書の「資本論」にて、労働の分業を分析する際の一事例として取り上げ、「工場都市」(ville-manufacture)と評した。
レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観
スイスとイタリアの国境をまたぎアルプス山脈を越える鉄道である
アルビナ線とベルニナ線は、20世紀初頭にスイスの私鉄レーティッシュ鉄道が開業した高山鉄道です。
アルビナ線はスイス中部のクールから南東部のサンモリッツまでの区間で、
ベルニナ線はサンモリッツからイタリア北部のスイス国境付近の町ティラーノまでの区間となっています。
アルプス越えは新石器時代からの人類の重要な課題となっており、
紀元前の時点ですでにエルトリア人とケルト人による交易ルートが存在したとされています。
そして、近代的な技術によって整備されてきたのが19世紀はじめのことで、世紀を通じて道路、ホテルなどの開発が徐々に進んでいきました。
その結果、多くの人々を安全で快適にかつ定期的に輸送する必要が生じ、レーティッシュ鉄道によるアルブラ線の高山鉄道開発が始まったそうです。
一方、ベルニナ線はもともとベルニナ鉄道が同時期に開発を進めていましたが、
経営難となり1943年にレーティッシュ鉄道に吸収され現在に至っています。
また、ベルニナ線はアルプス最高地点を走る鉄道であり、ブルージオ橋が有名です。
アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群
アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群は、杭上住居の集落遺跡で、
スイス、イタリア、オーストリア、スロベニア、ドイツ、フランスの6カ国にまたがる111件の資産によって構成される世界遺産。
ボーデン湖、ツーク湖などの湖や湿地帯に杭を立て、その上に住居が築かれており、
遺跡が集落ごと水没していることで、過去の様子が極めて良好な状態で保存されているものが多くあるようです。
ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-
パリを拠点として活躍した建築家ル・コルビジェの建築作品を一つの世界遺産として登録しており、
東京にある国立西洋博物館を含め、世界に17箇所の資産で構成されています。
スイスでは、ヴヴェイにあるレマン湖畔の小さな家と
ジュネーブにある集合住宅のイムーブル・クラルテが世界遺産に登録されています。
コルビジェについては、こちらで書いています。
併せて読んで頂けると幸いです。
自然遺産
スイスの活発な地殻変動地域サルドナ
スイス東部のサルドナ地方にあるサルドナ山をはじめとする3000m級の山が連なる山岳地帯。
プレート同士が衝突することで発生する断層が古い地層が新しい地層の上に重なるという逆転地形が見られる。
この逆転地形のことを逆断層または衝上断層といいます
サン・ジョルジョ山
スイスとイタリアにまたがる世界遺産。
サン・ジョルジョ山はスイス南部のルガーノ湖南にそびえる標高1097mの山で、
中世紀の中期三畳紀(2億4500万年前 – 2億3000万年前)に属する5つのの地層から多くの化石が産出されています。
化石の中には、体長が1mほどのパキプレウロサウルスや、
3mにも及ぶ長い首を持っていた魚竜のタニストロフェウスなどが見つかっています。
スイス・アルプスのユングフラウ=アレッチ
スイス南西部に広がるアルプス山脈北部ベルナー・アルプスにそびえるユングフラウ山を中心とした地域。
ユングフラウはドイツ語で「若き乙女」を意味する。
ユングフラウ山以外にもメンヒ、アイガーなどの名峰があり、
この三つの山はオーバーラント三山と言われています。
また、この一帯にはアレッチュ氷河などの手つかずの自然が残っており、
アレッチュ氷河周辺では、侵食作用による氷河地形の典型が多く見ることできます。
カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林
ヨーロッパ18カ国にまたがる世界遺産。
ヨーロッパブナの原生林を対象としています。
スイスでは、ジュラ山脈に位置するベットラッハシュトックの森や、
アルプス山脈に位置するロダーノ、ブサイ、ソラディーノ渓谷森林保護区が世界遺産として登録されています。
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